今でこそ薪ストーブの家づくりで知られる北清建設ですが、最初はごく普通の注文住宅を手掛ける小さな工務店でした。「何か特徴のある家づくりをしたい」と考えていた中で、転機となったのが15年前に建てたこのTさんの住まいです。
自然が多いところで暮らしたいとこの土地を選んだTさん。せっかくなら薪ストーブにして、室内も山小屋のような木をふんだんに使ったものにしたい、と北清建設の相澤社長とともにつくり上げたのがこの家。丸太を使った正面玄関や、柱や梁を現しにした内部、そして空間の主役である薪ストーブなど、北清スタイルの原型が生まれました。「子どもたちも薪運びを手伝ったり、ストーブを囲んで過ごしたりと、薪ストーブが家族のいいコミュニケーションツールになりましたね」と奥さんも語ります。
家を建ててから日曜大工をするようになったご主人の手により、サンルームは薪置き場に、2階のフリースペースは子ども部屋にとさまざまな変貌を遂げています。幼かったふたりの息子たちも大きくなりましたが、家族の絆は変わらず、仲睦まじい暮らしぶりです。
「木材も年月を経ていい風合いになっていますね。手をかけて大切に住まわれているのがわかります。まさに私たちがこうなってほしいと願った家族の暮らしがここにありますね」と久しぶりに訪れた相澤さんも、原点の家の「今」に心を震わされた様子。
「じゃあここで一曲」と始まったのは、長男の即興ピアノライブ。薪ストーブの明かりに照らされたみんなの顔がほころぶ、極上のだんらんのひと時でした。