人と馬が力を合わせ、森から伐り出した木を運ぶ「馬搬」。重機がなかった時代は当たり前に行われていた運搬方法で、「北清の森」の間伐を行うにあたり、大沼流山牧場の西埜将世さんとばん馬のキララにお願いしました。
森を傷めず、CO2も出さない、森にやさしい馬搬の様子をリポートします。
森の恵みをいただいて、薪ストーブで暖をとる北清建設の家。「北清の森」は間伐材を薪として活用するために購入した森で、いよいよその時がやってきました。まずは間伐をしてくれる木こりさんを探そうと、かねてより「北清の森」をフィールドワークの場として提供している恵庭幼稚園の井内園長に相談したところ、紹介してくれたのが、七飯町にある大沼流山牧場の西埜さんでした。
ですが間伐について、ひとつだけ懸念がありました。木を運び出す方法です。「北清の森」は急な斜面があるため、重機を入れるとなると大きな道をつくらねばならず、自然を壊してしまう恐れがあったのです。どうしたものかと西埜さんに相談したところ、提案されたのが「馬搬」です。
馬搬は林業の機械化によって担い手が減り、その技術継承が危ぶまれていると言います。ですが、馬が通れるだけの幅があれば傾斜地や入り組んだ道でも進んでいけるため、必要以上に森を傷めることがありません。もちろんガソリンもいらない、環境にやさしい技術です。
これはぜひお願いしたい! そう西埜さんにお願いし、急斜面のある山での馬搬は初めてだったそうですが、チャレンジしていただきました。
西埜さんと一緒にやってきたのは、白馬のキララ。最初の数日間は、ベテランの調教師さんから斜面での馬搬技術についてのレクチャーを受け、見事にマスター。伐り倒された原木が置かれた場所まで、急な斜面も難なく進んでいきます。そして、中には直径20cmはあろうかという原木も数本ずつキララが引く馬具にくくり付け、西埜さんのかけ声を合図にキララは力強く踏み出し、引っ張っていきます。曲がりくねった道も、互いに息を合わせてものの見事にスルスルと下りていく姿は圧巻でした。
自然のままの森を維持していける馬搬は、本当に素晴らしい技術だと感動しました。今後も間伐の際は馬搬をお願いしたいと思いますし、間伐した場所にはもちろん植林を行う予定です。その様子もこちらでリポートしたいと思いますので、お楽しみに。